実は個人的にちょっと気になっているのがジュノ下層の「Casino」シャウトだったりします。それなりの間隔で繰り返されるのと、ダイスのログで他が流れてしまうのが良い気がしないわけです。もちろんシャウトの該当者は問答無用でブラックリスト行きなのですが、ある時ふと思ってちょっと計算してみました。
私のいるGilgameshサーバーで盛んなルールは以下のようなものです。
- ダイスを振って620より大きい場合は掛け金2倍でリターン
- 920より大きい場合は掛け金3倍でリターン
- かけれる金額は人それぞれだが、2k〜25kの範囲明記の人が多数
どれくらいの人が参加しているのかは不明ですが、しばしばシャウトを聞くということや、ブラックリストの名前が2行になっていた事から、もそれなりに繁盛しているんでしょう。ということで今回のコラムはこの「Casino」にメスを入れて見たいと思います。
1.確率からのアプローチ
この手のギャンブルは基本的に胴元が儲かる仕組みなのは考えなくても明らかなのは想像できると思いますが、その具合はどれくらいなのでしょう。まずは簡単な確率計算で見てみましょう。
まず、「/random」によって発生するダイス値(乱数:0〜999)が全て一様・同確率と仮定します。では上記のケースでの期待値を出してみましょう。
値が0〜620の場合、掛け金没収なのでリターンは0
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620 |
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1 |
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Σ |
( |
0 |
× |
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) |
= |
0 |
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n=0 |
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1000 |
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値が621〜920までは2倍でリターン
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920 |
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1 |
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600 |
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Σ |
( |
2 |
× |
|
) |
= |
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n=621 |
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1000 |
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1000 |
値が921〜999は3倍リターン
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999 |
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1 |
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237 |
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Σ |
( |
3 |
× |
|
) |
= |
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n=921 |
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1000 |
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1000 |
と言うことで、あなたがmギルを賭けて勝負した場合の期待値は・・・
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600 |
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237 |
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837 |
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( |
|
+ |
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) |
× |
m |
= |
|
× |
m |
≒ |
0.873m |
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1000 |
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1000 |
|
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1000 |
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つまり9割弱の期待値しかありません。言い換えれば1000G賭けて勝負すると平均873Gしか帰ってこないことになります。残りの127Gは胴元の懐に入ると言う仕組みです。
2.確率のパラドックス。
では、時間とそれなりの元金を持っていたとしてこの「Casino」で勝つにはどうしたら良いか考えて見ましょう。一番手っ取り早い方法は「負けたら倍賭け」だったりしますが、自分の資金も有限ですし、相手の掲示している掛け金も上限が決まっています。
ではまず「胴元に勝つ」確率は幾らかというと
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999 |
1 |
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329 |
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Σ |
( |
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) |
= |
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n=621 |
1000 |
|
|
1000 |
・・・・・・・・・・・・3割強しかない..._| ̄|○
もったいぶった計算してますが、すぐ分かるかと思います。もうこの時点で
「やるのは止めとけ」
が私のアドヴァイスだったりしますが。敢えて話を進めます。
実は確率の根本にある法則があります。その名は「大数の法則」です。
ある「事象」に対して∞の試行を繰り返すと、その「事象」が発生する確率に限りなく近づく・・・という物です。サイコロを∞振れば各目の出る確率は限りなく1/6に近づくと言えば分かりやすいかも知れません。この「Casino」も金額は無視して限りなく繰り返すと勝率は0.329に近づきます。
しかし確率にはあるパラドックスが存在します。
一回一回の勝負を見ると勝率は0.329ですが、次のようなケースはどうでしょうか?
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一回目 |
324 |
・・・ |
負け |
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二回目 |
593 |
・・・ |
負け |
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三回目 |
102 |
・・・ |
負け |
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四回目 |
611 |
・・・ |
負け |
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五回目 |
98 |
・・・ |
負け |
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六回目 |
267 |
・・・ |
負け |
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七回目 |
196 |
・・・ |
負け |
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八回目 |
??? |
さて次の八回目は勝つでしょうか?それとも負けるでしょうか?
八回目の勝つ確率だけを単純に考えると0.329なのですが、全体を見てみることにします。ここで今までの試行を「大数の法則」に当てはめて見ると次のようなことが言えます。
「大数の法則」により、事象の確率は0.329に近づくように力が生じる。
つまり今の勝率は0.000なので、本来の確率「0.329」に近づくような力が働き、
八回目の勝つ確率が0.329を大きく上回る
のです。なにかキツネに化かされている様な話ですが、百聞は一見にしかずだったりします。「/random」を繰り返して、620以下が7連続したら次の8回目がどうなるか試してみてください。これは相反する確率のパラドックスと言えます。
<注意>
「大数の法則」に関してBBSにて意見を頂いております。
コチラも合わせて閲覧下さると幸いです。
3.勝負に勝つためには。
では実際の勝負について考えて見ましょう。ある程度連続した負けが続くと大数の法則の反発により、次回の勝つ確率が実際の確率より高くなっていきます。そこで
通常は最低金額の掛け金で勝負を繰り返し、
連続負けがある回数まで連続した場合に
次回の掛け金を一気に増やし勝負する
のです。負けの連続回数は多いほど良いのですが、事象が起き難くなるので適当な数値を研究しましょう。そしてそこで勝ったらもう勝負は止めましょう。
ちなみに、筆者はブラックジャックを行う際5連敗したら一気に掛け金を増やして勝負します。ブラックジャックで勝つ確率は4割強ですのでこのダイス勝負の5連続よりは数を増やした方がいいでしょう。
4.オチ。
ここまである程度理論に基づいた話をしてきましたが、実際のプレイでは・・・
- 胴元がそんなに連続でやらせてくれない。
- 7回連続してまける事象は1000回やって約61回しか発生しない。
- 8回勝負するだけでも結構時間がかかる
と、実際にはかなり大変だと思います。胴元から見れば最低金額で繰り返しプレイしてくるプレイヤーは鬱陶しく感じることでしょう・・・・Σ(゚Д゚)
そうか!この戦法で「Casino」シャウトを撲滅させることが出来るかもしれない・・・。
でも・・・そんな時間は無いや..._| ̄|○
お粗末さまでした。m(__)m |