第二十一話  ブラックリストに入れられました・・・
 実を言うと私は今まで一度も「/blacklist」コマンドを使ったことがない。どんなに痛いプレイヤーと出会っても、それはそれで記憶に留めるだけでブラックリストに入れなかった。何故かといわれると正直に言うと特に理由はなくて、強いて言えば「入れないとプレイに差し支えする」ほどの酷いtellをされることはなかったから、というのが理由である。どちらにしてもブラックリストとは無縁でここまでやってきた。

 しかし先日初めて「ブラックリスト」に入れられたようである。その時の様子を書きたいと思う。私の判断が正しかったかどうかは皆さんにゆだねたいと思う。

*           *           *

 それは召喚/白としてクフィムに降り立ってから2回目のPTであった。現地のほうが誘われやすいだろうと、クフィムの入り口の獣人旗(注:獣人支配)の前で球出しをしたところ、程なくして無言誘いされた。私は意を決して参加ボタンを押した。

 画面右下のメンバー表には私を含め6人が表示された。つまり最後の1人らしい。まぁ最後の一人はどうしよう?という候補で、召喚士を選んでもらえることは多いだろうと特に気にしなかった。そしていつもの癖でメンバー構成を確認すると・・・

 戦モモシ暗そして(私)・・・・。

私以外全員前衛で、しかもだれもケアル等の回復能力を持っていない構成だ。しかもサポ白の私はまだケアル2が使えない。HP回復手段は私のケアルしかないのである。とんでもないPTに入ってしまったと頭をかいた私だが、とりあえずやって見ようと決心する。

 幸いメンバーは皆獣人旗の近くにおり、すぐ合流できた。集まるとリーダーは「行こう」と言い、みんな走りだした。私が入る前に狩場が決まっていたのかな?と思いついていく私。本心を言うと、まだここのミミズのがすぐ救援できるし良いのにな・・・と思うが口には出さなかった。そしてついたところは中央の湖であった・・・。

 中央の湖はミミズ等の美味しいモンスがいる反面、夜になるとアンデッド(ワイト・バンシー)が出現する。私たちのレベルではアンデッドに太刀打ちはできない。つまり夜になると狩場変更を余儀なくされる訳だ。私はここでのレベル上げに片言単語を使って反対した。

 「夜ここは危険だ!」
 「WightやBansheeが出たら全滅する!」


 しかしPTメンはお構い無しにミミズを狩り始めた。仕方無しにケアルを飛ばす・・・しかし私以外回復出来ない構成である。当然召喚獣を呼び出している暇はなく、リキャスト可能になったらすぐ次のケアルを飛ばさないと回復が間に合わない。リキャスト時間を体で測り、連続でケアルを飛ばす技術(通称「マッハケアル」)は当然持っている。しかしどうしても回復が間に合わなくなってくる、「やはりこの構成は無理がある」と思ったとき、どこからかケアル2が飛んできてPTメンのHPが回復した。辻ケアルか?と一瞬思ったが、続いてPTメン5人にプロテス2とシェルが飛んだ。辺りを見回すとタルタルが一人立っていた。どうやら彼がしてくれたらしい。

 最初は辻か?と思っていたが、すぐ違うことに気づいた。2戦目も当然途中から回復が追いつかなくなる・・・するとケアル2が飛ぶ・・・

 PLである。

 ここで「オレはPLは嫌いだから」と言ってPTを抜けることも考えたが、本職白魔の血が騒いだのである。

 「PLケアルなんか飛ばさせるもんか」

 PLはPTに入っていないため、一目でHPの減りは分からない。メンバーを逐一タゲってバーを確認しなければならない。HPバーが減ってなければケアルはいらない。つまり「ケアルが必要」なほどHPを減らさなければ良いのである。私はバストンラで耐性を上げ、攻撃タゲを見越して先行ケアルを飛ばす。人から見れば「何やってんだか^^;」と思われるかもしれないが、PLケアルされなければ正規の経験値なはずだとその時は思って必死になっていた。
 (今思えば、ケアルされなくてもプロ2をもらった時点でアウトだと思うw)

 PLケアルを飛ばさせずに1戦を終わり「してやったり」とヒーリングしたとき、左下の時間が目に入った。もう19時である・・・。まずい!私は再びPTに狩場を変えるべきだと訴えかけた。

 「彼がいるから大丈夫」

 リーダーは取り合ってくれない。しかしリーダーは次の事実を知っているのだろうか?

Bansheeのレベルは30強だったはずである。彼はプロ2は使っていたが、シェルは1を詠唱していた。ということはどう見てもLVは36以下である・・・相手は出来るかもしれないが、その場合PTの子守はどう見ても無理なのである。2体現れたらアウトである。私は意を決した。

 「このエリアは危険だ。」
 「このPTは全滅するので私は抜けます」


 時計が20:00になったと同時に私はPTを離脱。すかさずオイルパウダーで身を隠すとクフィム入り口に帰ることにした。その直後、PTの中にいた一人からtellをもらった。

 これを君にあげましょう。/blacklist/welcome

 「ああ、私をブラックリストに入れるんだな・・・。」

特に悔しいとか憎いとかそんな感情は起きなかった。自分が正しいと思う行動をしたし、彼らと組むことは二度とないだろう。結構サバサバした気持ちだった。

*           *           *

 さて15分後、私はすぐ別のPTに誘われ、デルクフの塔を目指して走っていた。するとさっきのPTのリーダーからtellが入った。

 パーティ空きはありますか?

私はただこう返信した。

 「No,full.」

夜が明けるまでに何があったのか・・・それは彼らしか知らない・・・。
 
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