第十九話  ある召喚士Sの一日(前編)
 ある召喚士SはLV15のまだまだ新米召喚士。一人タロンギでレベル上げをしていると一通のtellが入った。

 「>>砂丘でレベル上げしませんか?」

 バルクルム砂丘は海を超えた遥か遠い場所だ。でもロクにPT経験がない召喚士Sは「PT経験もしなければいけないなぁ」とOKの返事をすることにした。オイルとパウダーがあることを確認して、船の出るマウラへ走った。ブブリム半島は危険なのでパウダーで駆け抜ける。世の中便利になったものである。召喚士になる前は岩陰に潜んだゴブリンに見つからない用に駆け抜けたことを思い出す。マウラ手前で再度tellが入る。

 「>>今どの辺ですか?」

慌てないで、まだマウラから船に乗るから15分以上かかるのよ^^。



 マウラで出航直前の船に飛び乗り、船室でじっと座っていることにする。甲板からモンスターと戦う音がするが、じっと座っていることにする。初めて船に乗ったときは喜び勇んで甲板に出て、タコに舜殺されたトラウマがある。PTに誘われているので極力安全にすすむつもりだった。セルビナに到着後、ちょっと迷ったがHP設定をすることにした。これは簡単にジュノに帰れなくなったことを意味する。意を決してみなが待つオアシスへ走った。

 PTはオールJPNのバランスの取れた構成だった。召喚士SはそのMP量を武器に白魔道士の回復サポートに徹する。途中リーチに誤爆した赤魔道士が倒される出来事もあったがすぐセルビナから走って戻ってきた。1時間という短い時間だったがみなレベルを1つ上げての解散となった。

 「やっぱりPTだと経験値も多く尚且つ勉強になる。」

召喚士Sはジュノに戻らず、暫くセルビナに滞在することにした。



 さて次に召喚士Sが誘われたのはNAのリーダーだった。無言誘いだったが「郷に入らば郷にしたがえだ」と意を決してSはPT参加ボタンを押した。3人目のメンバーのようだ。Sはぎこちないながらも定型変換で挨拶する。メンバー構成を確認すると既に白魔道士は確保できたようである。ほっと胸をなでおろす召喚士Sであった。

 しかしリーダーのジョブを確認すると「忍/赤」であった・・・。このリーダーは何を企んでいるんだろうか?ともかく忍者だがタゲを取る気がないのは良く分かった。そしてNA竜黒白JPN(S)と5人まで集まり、リーダーは後一人を探しているようである。PTとして機能させるには当然「挑発」持ちの戦士かサポ戦のナイトや忍者だろう。しかし事もあろうに

 「シーフを誘う」

と言い出すリーダー。NA黒が

 「タンク(盾)は誰がやるんだ?」

必死に反対する。しかしリーダーはそれを無視し、シーフがメンバーに加わる。それを見たNA黒とNA白がすかさず

 PTを離脱する。

召喚士Sも離脱したいと心から思ったが様子を見ることにする。10分後、リーダーは説き伏せたのだろうか?さっきの黒と白がPTに戻ってきた。結局構成は忍竜シ黒白召で決まった。これだけを見るとバランスの取れたPTっぽいが、「挑発」持ちはサポ戦のシーフだけである。召喚士Sはこの後の展開が読めていたが、あえて何も言わず見守ることにした。



 獲物はいつの間にかゴブリントンボに決定。というか、リーダーこれらを釣って来る。そしてシーフがやむを得ず「迎え挑発」する。無論「不意打ち」は当然出来るわけない(涙)。一旦そこでタゲが固定されるが、

 すかさず黒の精霊が炸裂する。

トンボはフワフワと向きを変えると黒魔道士に「ゲシッ」と一撃。シーフが挑発できれば取り返せたが、リキャスト中ではそうも行かず、黒魔のHPがぐんぐん減る。すると

 ケアルUで頑張って回復することでタゲが白魔に・・・。


そしてケアル詠唱を連打している召喚士Sにタゲが・・・と

 後衛3名でタゲ回しをする始末・・・。


一戦一戦が総力戦だ。しかし何とか倒すと3桁の経験値が手に入る。喜ぶ前衛たち。ヒーリングに必死な後衛たち。好対照である。

 程なくして、リーダーが空蝉を張ってないことが分かった。NA黒が「空蝉の術は使わないのか?」と聞くと「持ってない」らしい。さすがサポ赤である。空蝉の有効性を説く気も起きないSであった。

 しかし、こんなタゲがふらつメンバーで行う戦闘では、一瞬のバランスの崩れでPTが壊滅する。30分経たずして

 黒魔がアボンして無言抜けする。

これははっきり言って「しょうがない」。さすがにリーダーは困ったのかその抜け後にモ/戦を入れてきた。これでとりあえずはタゲが前衛にとどまりそうである。



 さて、さっきからガル竜が必死に「トンボを釣って来い」とリーダーに指図している。確かに竜の攻撃はトンボに有効だ。リーダーもそのリクエストに答えてトンボを釣って来る。しかしこの時点で、召喚士Sは考えが浅はかだったことに気づいてはいなかった。

 程なくしてトンボが「ガガンボの腹虫」をドロップした。召喚士Sは「サポ無しはいたかな?」とメンバー構成を確認すると・・・いた。「DRG」・・・って

 「竜?!」


一瞬「DRK(暗黒)」と見間違えたのか?と思ったが、よく考えればどっちもエキストラジョブである。ここで召喚士は重大なミス

 「サポ取っていない竜騎士がメンバーに入ったこと」

に気づいたのである。悔やんでも悔やみきれないミスだ。さらによく考えると

 小竜がいなかったぞ!

召喚士Sは「敵がトンボやゴブで範囲があるから小竜を出さなかったんだ・・・。」と必死に思い込もうとしたが、どうしても

 「PT合流前に小竜がお亡くなりになっていた」

と思われて仕方なかった。

 さらにこのガル竜は追い討ちをかけた。腹虫にロット&ゲットすると颯爽と

 PT離脱をして去っていった

のである。この電光石火の早業に召喚士Sはしばし呆然とする。リーダーもショックだったのかこの場でPTは「解散」とあいなった。帰る途中でリーダーがゴブリンに絡まれていたが、そばをプリズムパウダーを使った召喚士Sが悠々通り抜けセルビナに戻って行った。

つづく・・・
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